3回目接種と今後 1,2

3回目接種と今後について その2

海外の論文にも情報が整ってきました。

情報を簡単にまとめると、

1 「1,2回目接種したあと抗体価は半年後には約半分に減少し、感染リスクが高まる」※1、2

2 「3回目を接種すれば2回目終了時より抗体価が5~12倍に増え、重症化を防げる」※3

3 「仮に感染しても重症化予防効果は維持されているので軽症で済む」※1

といった情報が中心です。

※1 カタールでは2回目接種6か月後に抗体価は77~20%に低下していた。しかし重症予防効果は90%に維持されていた。Chemaitelly H, et al. N Engl J Med. 2021 Oct 6. [Epub ahead of print]

※2 アメリカでは2回目の接種後4か月で抗体価は75~53%に低下していたTartof SY, et al. Lancet. 2021;398:1407-1416.

※3 一般成人にファイザーのワクチンを3回接種(2回接種後7.9~8.8ヵ月)した時のDelta株に対する中和抗体価は、2回接種後に比べ55歳以下の若年/中年者で5.5倍、65歳以上の高齢者で12.0倍高値になることが示された(Falsey AR, et al. N Engl J Med. 2021;385:1627-1629.

上記のように、最近の論文の中には2回目接種後半年後に感染リスクが高まるといった情報もあるため政府の専門部会は「半年後3回目接種」を推奨することになったようです。一時「6か月後でもよい、前倒ししてもよい」といった発表がありましたが、ワクチン担当大臣は「8か月が原則だ」と発表しなおしました。11/16  科学的には3回目を打つなら「6か月後」だと思います。  また、第6波は国民の8割が予防接種をしていることから第5波より波は小さく、重症者も少ないのではないかと日本人の研究者も述べております。

私の個人的な意見としては、若くて元気で基礎疾患のない方で2回目接種で重篤な副反応があったかたは3回目を受けない選択もあるかと考えます。  喘息や心不全など重い基礎疾患のある方や高齢者は受けたほうがいいと思います。 ただ、ワクチンパスポートなどの手形が必要な場面が今後増えてくると予想されるので難しいところです。

今までの議論について、感染していない状態での抗体価だけの議論でいいのだろうかと少し疑問です。実際、感染後重症化は3回目を打たなくても90%抑えられているのですから。(今のところ) また、日本人の接種量についての議論も見当たりません。この辺りもそろそろ必要かと考えます。

なお、11月第2週から神奈川県の実効再生産数が1.0を超えてきました。 (18日現在1.11) 注意が必要です。

2021.11.18

 

 

3回目接種と今後について

神奈川県では3回目の接種の準備が進んでおります。2回目接種後概ね8ヶ月がすぎたところでの追加接種が予定されております。

1 3回目も市町村から接種券が送られてくる予定

2 クリニックは今のところファイザーしか選べない。(県に問い合わせたところ  10/13時点)

3 接種量はファイザーの指示通り(3回目で0.3mlは日本人には多すぎないかと県に問い合わせた結果 10/13時点)

今後、第6波が来るかどうかは、統計解析の専門家(沖有人氏)によれば「来るとしても緩やかで第5波ほどまでピークは増えず、死者もほとんどいないのではないか」「今の減少傾向が反転して増え始めるのはおそらく10/17ごろからではないか」ということです。今後死者が増えそうになければそろそろ第2類から第5類にしてもいいかもしれません。  私個人的には変異株が増えてこない限り多少緩やかな波があってもこのまま落ち着いていく可能性が高いのではないかと考えております。世界ではデルタ株のような注目すべき変異株の流行は今のところみられないようです。

そうなると、3回目、どうするかですね。60歳以上の方は接種しておかれた方がいいと思いますが、それ以外の若い世代は迷うところではないでしょうか。副反応の点で苦しんだ方も多いようです。ワクチンパスポートや社会的な必要性(アメリカ入国や高齢者との同居など)のある方は「せざるを得ない」状況かもしれませんが。  まだ、しばらく時間がありますので社会情勢を見ながら考えておいてください。その時期が来たらワクチンによる抗体価がどのくらい残っているかを検査してみてから決定してもいいかもしれません。       2021.10.17