ウイルス干渉

ウイルス干渉

ここにきて感染者数がかなり減ってきました。原因は分かっていません。今後、どうなるかわかりませんし、いつ次の波が来るかもわかりません。予測はできませんが、現状でわかっていることを書いてみます。  世界的に見ると、デルタ株がピークの国、再燃している国、落ち着いてきている国が入り混じっており、地域の差は見られない様です。国ごとに収縮と膨張を繰り返しているように見えます。  また、現時点で冬の南半球では昨年同様、インフルエンザは殆ど流行していない模様です。(WHO Influensa 2021,8,16) 本邦では今年もインフルエンザの流行の可能性は低いと思われます。 インフルエンザはどこに行ってしまったのでしょうか? 航空機による移動の減少や手洗い、マスクなどの公衆衛生意識の高まりがインフルエンザの流行を抑えたとも言えますが、ウイルス干渉によるものも指摘されています。  ウイルス干渉とは一言で言えば強いウイルスが弱いウイルスを駆逐してしまう、ということです。(人の細胞のレセプターとの結合力が強い方が生き残る、とも言えます) ウイルス性呼吸器疾患という括りの中では今までインフルエンザ王国が支配していましたが、コロナ帝国に取って代わられたと言っていいかもしれません。 ではインフルエンザウイルスは無くなったのか?滅亡したのか?  実は彼らは熱帯・亜熱帯地方で細々と命脈を保っていて次の機会を狙っています。 例えば中国では鳥インフルエンザが少しづつ増えてきており、油断できません。中国では最近1か月間にH5N6型の鳥インフルエンザ患者が5人発生しました(香港衛生局 2021-8-19, 20)。今回、患者が確認されたのは、広西省、四川省、湖南省、広東省と中国南部が多くなっています。 中国ではH5亜型が徐々に増加傾向にあり、インフルエンザウイルスも変異しながら着々と巻き返しを狙っているのかもしれません。

世界はこれらのウイルスとの共存を、今まで以上に意識して模索することになると思われます。  2021.9.12