帯状疱疹ワクチンと認知症の関係
 2007年ごろより帯状疱疹に対する弱毒生ワクチンの効果が英国を中心として研究されてきていました。その結果、このワクチンを接種した人はしない人より認知症発症の相対リスクは20%低下することが報告されております。また、帯状疱疹に限らず、インフルエンザ、3種混合、肺炎球菌などの接種でも打たない人より25〜30%認知症発症率は低下している様です。
  (Harris K  J Alzheimer Dis 2023;95;703-718)など
 また、2017年から6年間のシングリックス(遺伝子仕組み変えワクチン)の研究結果もあり、上記弱毒生ワクチンと比較して認知症発症率が17%低いという結果が出ております。
         (Nature medicine. 2024 Oct;30(10);2777-2781.)
 
ただでさえ辛い帯状疱疹後神経痛を患っている患者さんを診ていると、このワクチンは絶対に打ったほうがいいと思いますが、さらに認知症も抑えてくれるとなれば余程の禁忌がなければ打つほうがいいでしょう。
                                                               (2025.5.4)

 

***アーカイブリスト***

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