コーヒー消費量と認知症リスク

コーヒーの消費量と認知症リスク

 南オーストラリア大学のKitty Pham氏らは、習慣的なコーヒーの摂取が脳容積の違いや認知症および脳卒中の発症に関連しているかについて検討を行った。Pham K, et al. Nutritional neuroscience. 2021 Jun 24;1-12. doi: 10.1080/1028415X.2021.1945858.

UK Biobankに参加した39万8,646人(37~73歳)を対象に、習慣的なコーヒーの消費量をプロスペクティブに分析した。MRIの情報は、対象者のうち1万7,702人より得られた。認知症(4,333例)および脳卒中(6,181例)のオッズ比(OR)と脳容積との関連は、ロジスティック回帰を用いて分析した。

主な結果は以下のとおり。

・習慣的なコーヒーの消費量と以下の脳容積との間に逆線形の関連が認められた。(コーヒーが増加するほど脳容積が減っていく、ということ)

●全脳(1杯当たりの完全調整β:-1.42、95%CI:-1.89~-0.94)
●灰白質(β:-0.91、95%CI:-1.20~-0.62)
●白質(β:-0.51、95%CI:-0.83~-0.19)
●海馬容積(β:-0.01、95%CI:-0.02~-0.003)
・習慣的なコーヒーの消費量と白質高信号域(WMH)容積との関連は認められなかった(β:-0.01、95%CI:-0.07~0.05)。
・コーヒーの消費量と認知症との関連は、非線形であった(Pnon-linearity=0.0001)。少量のコーヒーを摂取する人と比較し、コーヒーを摂取しない人、カフェインレスコーヒーを摂取する人、1日6杯以上コーヒーを摂取する人において、オッズ比が高かった。(関連が強いということ)
・1日6杯以上のコーヒー摂取は、1日1~2杯の摂取と比較し、認知症ORが53%(完全調整OR:1.53、95%CI:1.28~1.83)高かったが、脳卒中との関連は弱かった(OR:1.17、95%CI:1.00~1.37、p=0.055)。

結論として「コーヒーの消費量が多いと、脳容積の低下が認められ、また認知症リスクが高まることが示唆された」としています。6杯/日以上飲むと認知症になりやすいかも、ということですね。

このほか、コーヒーに関してはいろいろな文献があります。がんの発生率とコーヒーの量との関係などです。例えば、大腸がんでは3杯/日以上の服用で発生率は減少するという報告があります。ALIMENTARY TRACT| VOLUME 154, ISSUE 4, P916-926.E9, MARCH 01, 2018

認知症になりたくないし、大腸癌にもなりたくないですよね。この他にもいくつか報告がありますが、コーヒーは2、3杯/日ならちょうどいいのかもしれません。 私は朝1杯と昼1杯くらいにしております。カフェインの残留を考えて午後3時以降は飲まないようにしております。緑茶も認知症を防ぐ、という報告がありますが、次の機会に。              2021.8.9