m-RNAワクチンの説明

このワクチンは大変巧妙に設計されていて、効果が高く、また、副作用がほとんど見られないことが特徴です。数十年後どのような副作用が出るかはわかりませんが、現時点では妊婦や小児以外の方は数十年後もおそらくほとんど問題ないと言っていいかと思います。特に60歳以上の方は数十年後の、あるかないかわからない副作用を恐れるより、明日の命を重視したほうがいいのではないかと考えております。

ワクチンについてもう少し詳しく説明します。普段、細胞は核の中のDNAから情報(設計図)をコピーして同じ細胞内にあるリボゾームというたんぱく生産工場にその設計図を送りそこでたんぱく質を作って体に提供します。そのコピー(設計図)がmRNA(メッセンジャーアールエヌエー)なのです。もちろんこの設計図には印をつけて人間のものである認証をしているのでリボゾームも安心してたんぱくを作れています。使われた設計図は細胞内で自然に壊されていきます。約、数時間から数日といわれております。ブラウン運動のエネルギーにより壊れていくようです。

mRNAワクチンの簡単な機序

さて、mRNAワクチンですが、この設計図はコロナウイルスの一部をコピーして人間の認証マークを付けられています。つまりウイルスそのもののコピーではありません。壊れやすいため脂質の膜に覆って細胞に送り込みます。すると、リボゾームは「勘違いして」この設計図通りのたんぱく質を作ってしまいます。このたんぱく質は「異物」なのでさっそく免疫機構が働いて細胞性免疫、液性免疫の両方が活性化されます。そして免疫が作られるというわけです。だました設計図(mRNAワクチン)は数日で分解されていくというわけです。  考えた科学者、すごいですね!   まあ、20年ほど前からこの技術は研究が蓄積されていったので今回素早く実用化できたのでしょう。 日本は厚労省の縛りがすごいのでなかなか予算内、時間内で研究成果を製品に結び付けることができず、日本製のワクチンが出てこないことに忸怩たる思いです。 でも、皆さん、気づいてますか? 日本人は世界の人たちに比べて副作用に対する批判が強すぎるのです。厚労省のある医系技官は、「日本人は副作用で死んではいけないんだよね」とあきらめ気味に話しておりました。規制を厳しくせざるを得ないのは国民性によるもの、ともいえると思います。厚労省を批判するより、副作用についてもっと科学的な目で判断し、受け入れられるような世論を培わないと世界に遅れていく一方です。これはマスコミの責任もすくなからずあるでしょう。

最近、日本人の接種でアナフィラキシーが欧米に比べて多いと報道されています。しかし、ブライトン分類(アナフィラキシーの分類)に当てはめると発生率は実際は欧米と比べ極端に高いわけではない様です。3月9日までに報告があった17事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症している「3」以上に該当するのは7例になると報告されております。意識消失などの重症なショックはないようです。

なお、これとは別にワクチンを有害と考える人たちもおります。いろいろな理由があるようです。オカルト的なものは論外として「体内に残っているコロナウイルスの遺物がのちのち悪影響を及ぼさないか」「逆転写酵素によって予想外のDNAがつくられてしまい、遺伝に問題がないか」などです。それぞれに主張がありますが、これらも含めて時間がたたないとわかりません。

もしかしたら20年後に接種した人の数%に何か不都合なことが起こるかもしれません、が、何も起こらないかもしれません。(これまで数十年にわたり積み重ねられたmRNAの研究からは「不都合なことが起こる確率」はかなり低いのではないかと考えられます。)ワクチンを有害と考えている人も有益と考えている人も未来のことはわかりません。

ただ、生きていなければ20年後はないことだけは事実です。また、コロナにかかった人の後遺症がいつまで続くかもわかりません。

私自身はこのワクチンを受けるつもりです。 もし、接種を希望されるなら出来るだけ医療従事者が多い場所で受けることをお勧めします。何かあった時の対応が早いからです。